手厚い指導の真意①

「手厚い丁寧な指導を心掛けます」
こんなフレーズを学習塾のチラシやサイトでよく見かけます。
宣伝文句としても印象は悪くないと思うので私もたまに使いますが、
この「手厚い」や「丁寧」、「寄り添う」、「生徒に合わせる」などは、
実は塾によって使われ方が違います。
それは塾による指導の認識や方針の違いによると思うのですが、
塾講師の中でもいろいろと意見が分かれ、対立がある話でもあります。
今回は、
中村適塾としての考え方を交えながら、塾による「手厚さの違い」について書いていきます。
(1)物量作戦には注意
手厚さをアピールする塾によくあるのが、
「物量作戦」です。
例えば、テスト直前になると毎日強制的に塾に来るように授業が組まれ、
問題演習と称して大量のプリントが配られたりします。
それを聞く分には何が問題なのかと思うかもしれませんが、
意外な落とし穴があります。
「物量に頼ってしまうようになる問題」です。
たしかに、
あらゆるプリント教材をたくさん配られると、
面倒見がいいように映ります。
今風に言えば「映える」わけです。
塾としても手厚さを演出する手法として簡単で、手っ取り早いですから、
それがもたらす問題点に気付いていたとしても、あえて実施している場合もあるほどです。
大量に渡されるプリントはそれを消化さえすればテストは何とかなる習慣がついてしまい、
自分から勉強方法を工夫しなくなり、
そのプリント集がなければ勉強できない人になってしまう危険性があります。
この問題点の影響は中学生から高校生になると特に顕著に現れます。
身につけるべきは「勉強方法」です。
毎日の強制授業も同じです。
私もテスト前や入試前は「特訓授業」と称して長時間授業を組みますが、
よほど生徒の成績状況が追い込まれていない限り毎日の強制はしません。
確認テストやテスト日程に合わせて、
生徒が自ら計画的な予定を組み、自主的に学習に取り組むのが理想です。
最終的にはそんな形にすべての生徒を導きます。
(次回へ続く)